高校時代の同級生、木内と松本でばったり会った。
折尾を出て、大阪で仲間たちと再会し、名古屋経由で
地元に戻る途中だった。
女鳥羽川沿いにある「おきな堂」という古い店で
代を継いだという。
木内は映画館の息子とばかり思っていたが
映画館の息子は宮坂で、宮坂は
松本一好きだった旅館「信州會舘」の社長だった。
2度泊まってて、なにも知らなかった。
おきな堂は、折尾で先日亡くなった和子さんと
娘の餅が
チェックしてたか、実際に行ったかした店であり
餅が信州大学を受験したときにふたりで
松本を訪れたんだよ。
この店を紹介してくれた
大学の後輩である小坂が話してくれた。
小坂が働いている会社には宮坂の妹が働いていた。
なにが言いたいのか、といえば
今回の旅は、和子さんを鎮魂するためのものだったが
最終的にはおれ自身を完全に分解する旅になった。
いくつもの偶然が折り重なっていま、ここにいる
おれの磁場がどこにあるかなど
心底思い知らされた
関西で大学時代を過ごした三人で
阪神淡路大震災の話を、高校の寮の話を、大学時代の話を
社会人になってからの話を
なぜ、この今しているのか。
幸せになって欲しいひとがいる
頭を下げて
謝りたいひとがいる
そして、もし許されるならば
その人とともに
永遠の中にありたい
それがいまの正直な気持ちだ