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two Katoh’s exhibition : glass and oil painting

今展は、びじゅつ室企画で初めての二人展でした。加藤尚子氏は、ガラスという素材でなくては出来得ない表現を彼女独特なフォルムにのせて作品に仕上げてきました。中でも’異物’という作品は、無機的なるガラスという素材に、有機的なる“ひび”の成長を盛り込んで圧巻であり、安泰の象徴でもある円環のフォルムに不安の示唆であるが如くの’ひび’を時間経過に載せて進化させるという現代の抱えるテーマを作品として完成させていました。

加藤泰氏は、“古利根”の原風景を黒を主色として、深遠にそして誰でもが懐かしいと思える帰りたい風景として描き、これもまた堂々と深く静かに見る者たちを引き込む作品に仕上げていました。企画者としても、初めての二人展にて些か緊張を強いられましたが、皆様のご期待に沿えたものと胸を撫で下ろしたしだいです。有難うございました。

この展覧会をもちまして、暫くの間、無期の休室に入ります。

小島びじゅつ室 主宰者 不一


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小島 静二
katou

(かとう・やすし)
1953年 東京都練馬生まれ
1977年 学習院大学法学部卒業
1972年〜書道をはじめる
1980年〜独学にて絵画を始め、現在に至る。

(かとう・なおこ)
1972年 神奈川県横浜生まれ。
1996年 女子美術大学芸術学部工芸学科(現工芸学科)卒業。
2001年〜女子美術大学芸術学部工芸学科非常勤講師。

北川健次『皮膜を擦る視線の裂より』展 コレクション

作家は、福井県立美術館と福井大学E and C ギャラリーでの個展を終えました。久方ぶりに作家の時間軸を追ってびじゅつ室のコレクションにて展覧会を作ってみました。会期はたった3日間だけであり、少し残念だったかなって思いました。
びじゅつ室の今展の特別企画は、見に来られる方が、大好きな詩・若しくは自作の詩を音読して貰うということでした。多くのしてくださった方々に感謝です。とても素晴らしい幸せな時間でした。飛び入りで、持参のチェロ演奏カザルス「鳥の歌」感動でした。有難うございました。作家・北川氏も暫くの時間をゆっくりと眺めたあと、「マルセル」の詩を読んでくださいました、有難うございました。

どうぞ、2012年を、良い年にしたいと、そして出来ることを出来る限りにしたいと願うびじゅつ室です。ご高覧の程、真に有難うございました。
作家は、この度写真集を出版予定とのことです。


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小島静二
kitagawaDM

(きたがわ・けんじ)
1952年 福井県生まれ。
     多摩美術大学大学院美術研究科修了。
     駒井哲郎に銅版画を学び、棟方志功・池田満寿夫の
     推挽を得て作家活動を開始。
1990年 文化庁派遣芸術家在外研修員として渡欧。
1993年 クリスト来日時、オブジェ作品の賞讃を得る。版画、
     油彩画、オブジェの他に写真、詩、評論も手がける。
2008年 ランボーを主題とした作品が、ピカソ、クレー、ミロ、
     ジャコメッティ、ジム・ダイン、メープルソープらと
     共に選出され、フランスで展覧会が開催される。

http://kenjikitagawa.jp/

坂井淳二『玄月 La Lluna Negra 』展

今展、版画での展示を企画とさせて頂き、更に額装を付けず、生の作品で展示に挑みました。新作群は、展示の際に未だインクが乾いて無く、匂いやインクのテカリがとても通常の版画とは言えない艶かしさと生ものとしての作品の味を呈していました。デビュー以来のモチーフである“クロス”をやや展開させ、7〜16版の重ね、それも僅かに作為としてのズレを作ることによって、深みと奥行きとを実験していたように思えた。実際、見に来た一部の人が、版画とは気付かずにアクリルかオイルだと思っていたようだ。

今展から、展示会場が2階だけになってしまったため、作家の持参した全作品を皆様にお見せ出来なかったことを、お詫び致します。

版画家としての自意識を持つ彼は、まだまだ熱く実験性を作品制作に挑み、やがて着地点を何処に落とすのだろうか。そこまでは、見たいなあーと企画者でさえ思ってしまった。

作家が嘗て言っていた「“月の光”で展示したい」の意味がなんとなく伝わってくる作品群であったといえよう。長い時間眺めてて飽きない主題であり、ずっと眺めててそれに耐えうる強度を携えた作品であったといえよう。

これからも実験を繰り返し、その中に行き着くゴールを少し意識して挑んで貰いたいと願う。


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gengetuB
(さかい・じゅんじ)
1971年 香川県に生まれる
1995年 大阪芸術大学 美術学科卒業

[主な個展]
1996年 番画廊/大阪(97,00,02,03)
1997年 ギャラリーGORO/大阪
1998年 OギャラリーUP.S/東京
1999年 シティギャラリー/大阪、アトリエTK/東京
2003年 Ateneu Santfeliuenc/バルセロナ・スペイン
2006年 HANARE/兵庫、Quisoc Gallery/トレンプ・スペイン
     ほか、グループ展多数

原井輝明 『竈神 Hestia』展

“見えるものと見えないものとの狭間”を追いかけて作品に託して画いてきた。故郷の山口・宇部での日常(子供や公園に至る風景など)を「竈神 Hestia」というタイトルになぞらえて。作家特有の“一見”と“熟考(視)”との両者を盛り込んで独特な淡いスモーキーな色調にて見る者たちを遠ざけた。作家の世界は、見えるのだけれど見えていない。分かりそうで、突き放される。そのままで良いのに、深読みをさせられる。少々厄介な性分である。恐らく、やがて時系列にて展示される機会が訪れた時に作家の全貌が明かされるのであろう。その時を検証できるかどうかを悩む企画者であった。

作家の意図・描き方・展示・照明・見る者の視野等作品に辿る要素が多すぎるかな? しかし、大事な作品を作り上げる稀有な作家といえよう。

どうぞ、長い目で見て頂きたいものです。また次なる新作にて、見る者たちを惑わしてください。


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小島 静二
hestiaDM
(はらい・てるあき)
1965年 山口県宇部市に生まれる
1989年 東京芸術大学美術学部絵画科油画専攻卒業
1991年 同大学大学院美術研究科油画専攻修了
1994年 同大学院後期博士課程美術専攻(油画)満期退学

[個展]
1991年 J2 GALLERY/東京(94)
1993年 ギャラリー美遊/東京(95)
1994年 東京芸術大学陳列館/東京
1994年 横浜ガレリアベリーニの丘ギャラリー/神奈川
1995年 AKI-EX GALLERY/東京
1996年 オレゴンムーンギャラリー/神奈川
1997年 スカイドアアートプレイス青山/東京(98)
1999年 ぎゃらりー寿楽山/山口
1999年 GALLERY TAGA/東京(01)
2000年 Galerie SOL/東京
2001年 防府市地域交流センターアスピラート/山口
2002年 秋吉台国際芸術村/山口
2003年 巷房、Space Kobo &Tomo/東京
2005年 ギャラリースペースM/群馬
2008年 遥雲堂美術館/山口
2009年 ART SPACE 貘/福岡
2011年 小島びじゅつ室/東京

現在 山口県宇部市在住

鈴木省三『絵画との約束』展

今展は、「絵画との約束」というタイトルの意味と作家のそれに対する真摯なる情熱とを作品を通して真正面から堂々と表現してきた。企画者は、会期中ずっと目を凝らし、そしてその暗黙の言葉に打ちのめされ、また微かではあるが生きる勇気と光とを分けて貰った。狭小なるびじゅつ室が、恰も宇宙の様式を抱いた深淵なる空間に姿を変えた。茶室から溢れ出るエナジーと湿度は、外に出てからも脳内や体内に溢れ続けていたのは不思議な体験であった。やはり、素晴らしい展覧であったといえよう。

この作家は、次をどうするのだろう?いつもそう思わせる軽やかなる凄みと情熱を持っている稀有な存在である。

特別企画として西達男氏による講演と作家による「絵画との約束」講演も予定時間を大幅に超過し、記憶に残る興味深いものとなった。びじゅつ室に入りきれない程の人たちは作品群を眺めながら、情熱的討論を交わした。これらは、展覧会の生ライブといってよいものだ、面白かった出来ごとであった。


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小島靜二
kaigayakusoku

(すずき・しょうぞう)
1946年 大阪市に生まれる
1969年 同志社大学卒業
1970年 フォルム絵画研究所にて研修

[主な個展]
1978年 藍画廊/東京(79)
1980年 ときわ画廊/東京(81,82)
1983年 Studio 4F/東京(84)、二人称画廊/東京
1985年 コバヤシ画廊/東京(86,90,92,95,97,98,99,00,
     01,03,04,05)
1986年 ギャラリー・ラランヌ/東京
1987年 佐谷画廊/東京
1992年 ガレリア・フィナルテ/名古屋(99,03,06)
2002年 小島びじゅつ室/東京(04,06)
ほかグループ展多数

[パブリックコレクション]
東京国立近代美術館(東京)、東京都現代美術館(東京)

柏原 和明 『さくら』 展

桜は、展覧会のためかのように堅い蕾から膨らみ、そっと静かに開花したかと思うと、瞬時に満開、そして突然の風雨は花を蹴散らし、やがて地を流離う花川面の様相へと、そして若葉の緑が狂歌に幕を降ろした。この会期を選択した作品に日々驚かされ続けた。達観の域にある老婆の晴れ、今を必死に生きる少女の憂欝、何も無かったようにまどろむ猫たち、これらの日常風景を桜の下で見つめる機会を得た。何気ない時が、いかに壮絶なドラマを携えているのかを考えざるを得なかった。

作品群は、彫刻としては極上であり、人体の表情・骨格・立ち姿等云うことはなかった。しかし、作家はその表面的彫刻を見せたいとは全く考えていなかったようだ。作家は、彫刻の内面を感じさせたいと願いながらただひたすらに制作に挑んだに違いない、そして被写体の存在自体を彫刻に仕上げた。搬入時の驚きが、楽まで不断に続いた。なんという作品群であり、なんという作家であろうか。

このままで制作を続けていって欲しいと願った。この展覧会は、見た者たちに時間の経過と共に更に強く浮かび上がるドキュメントになるのであろうことを感じた。


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小島 靜二
DMsakura
(かしわばら・かずあき)
1963年 東京生まれ
1988年 東京芸術大学彫刻科卒業
1990年 同 大学院修士課程修了
現在   東京 東大和市在住

坂井淑恵 『DIVE』展

作家は、今展において自分の世界を俯瞰し始めた感のある作品群を制作したようだ。
視点も届かぬほど広大な風景、空を映す海、遥かなる希を無心に感じて漂う。また降り注ぐ力と光は、集まりながら終わりない還流を繰り返す。飽きることなく、また留まることのない視線に、ある種の快感すら覚えた。

作家の孤独は、見る者の共感へとつながり、そして安心さえ覚えた至福なる作品であった。

更に多くの人たちにその至福を味わって貰いたいと切に思ったものだ。企画者もその世界にじんわりと漂わせて貰った。
次なる作品の誕生に更なる期待をしたい。


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小島靜二
divedm

(さかい・よしえ)
1965年 千葉生まれ
1986年 京都芸術短期大学美術科卒業
1991年 京都市立芸術大学美術学部 美術科油画専攻卒業
1993年 京都市立芸術大学大学院 美術研究科絵画専攻修了
現在   和歌山県在住

坂本太郎 『森守 -Forestkeeper- 』

作家は、展示室の中央にForest Keeperを設えた。そこから奥に続く深い森と、その手前に見る者たち各々の森の間に立って、どのような役割を担わせようとしたのか。

作品の中に入って暫く佇む人たちが多くいた。「包まれて安心できる」「胎内のような暖かい感じがする」とか「このままここで死ねる気がする」とか、各人が様々を語った。
作品は、見る者たちに思い思いの物語を作らせ、そしてびじゅつ室をあとにした。
それは、それでよい。それも作家の意思であるのだろう。

企画者としては、作家の立体彫刻作品を見せたかった。彫刻の意味をもう少し真剣に論じあえる作品であって欲しかった。
これからの作家の制作に期待する。


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小島 靜二
sakamotoDM
(さかもと・たろう)
1970年 埼玉県生まれ
1997年 国際瀧富士美術賞受賞
     愛知県立芸術大学美術学部卒業制作展 桑原賞受賞
     愛知県立芸術大学美術学部美術科彫刻専攻卒業
1999年 愛知県立芸術大学大学院修了制作展 買上賞受賞
     愛知県立芸術大学大学院美術研究科彫刻専攻修了
2000年 愛知県立芸術大学修士課程修了
2002年 愛知教育文化財団 第13回助成賞受賞
2006年 ドイツ国際木彫シンポジウム「FLUR2006」一等賞受賞

http://www.h7.dion.ne.jp/~tarosa01/

岩部隆明 蒔絵箱『回帰』展

作家の作る箱、その中には作家の心が詰まっている。見ていて或る人が、中を見たいと言った。容れものかとも、何を入れるのか、とも尋ねた人がいた。作家は、白い綿の手袋を両手に着け、静かに、息を止めてゆっくりと箱を開けた。その人は、申し訳なさそうに箱の中を覗き込み、「空っぽだけれど美しい」と言った。

作家は、“無いけれど有る、有るのだけれど無い”を作品を通して作ってきたのだと、少しうつむきながら静かに話した。
空っぽな風景は、感じるしかない。空っぽな空間は、その美しさを証すために’側’を造る。そして、たとえ無くとも確かに或るし、美しい。

籠っていた作家の心は、少しずつ開かれていくように感じた。

静謐で気高い作品群であった。次の作家の心の風景を、箱の作品を通してまた感じたいと思った。


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小島靜二
kaiki
(いわべ・たかあき)
1950年 東京都生まれ
駒沢大学大学院修士課程(仏教学専攻・1988年)修了
日本伝統漆芸展
日本工芸会賞(2002年)受賞
日本工芸会正会員

秋葉シスイ油彩画展 『 向かう 』

作家は、当初より人を描いてきた。近年では、左向きに立っている人が、連作になっていた。今展において、人(図)が風景(地)に溶け、一気に地が図を凌駕する様式へと変化した。この変化は、今まで単なる背景であったものに、想いの載った風景へと進化を遂げた作家の意思を感じずにはいられなかった。描くという行為においては、難しい処へ向かうことになるが、作家が自らの深層に入り込む絶好の機会と捉えられる局面であったと言えよう。
 
 第一展示室では、新作を条件の今展において、作家は勿論のことプロデューサーとしても成長を余儀なくされた展覧会であった。デビュー間もなく作られたこれら一連の作品群は、極上の意味と深みとを見る者たちに提示した記憶に残る展覧会であった。




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小島靜二
shisui
(あきば・しすい)
1984年 千葉県生まれ
2007年 和光大学表現学部芸術学科卒業
2007年 個展「そこから」 フタバ画廊(銀座)
2008年 ときの忘れもの企画「4 Winds 永井桃子・根岸文子・
     秋葉シスイ・三須研一」 ときの忘れもの(南青山)
2008年 フタバ画廊企画「GARELLY EXPECTS
     Re-PRESENTATION vol.1 秋葉シスイ/浅枝木綿子」
     フタバ画廊(銀座)
現在、神奈川県在住
http://www.geocities.jp/akibasisui/index.html