ピンクレディーの「透明人間」は
阿久悠の、良い意味での「慇懃無礼さ」が結実している
共通の理解、共通の幻
Staticな空気が充満した70年代後半に
「わたくし」と2人に歌わせた人間をおれは知らない
見えないものが見える
それは単純に可能性の問題だ、と
阿久悠 はこぶしを振っていた
そんな、逆止弁のような世界構造を
3分なにがしの時間に詰め込んだ
工芸のような何十行を聞き続けるにつけ
「透明人間」は阿久悠そのものである、と
やはり当たり前のように突き当たってしまう
「わたくし」とは
透明人間の「署名」である
止めてほしいのである
消えたくはないのである
でも消えてしまうのである
だから現れるのである
阿久悠の長い長い活動に対する興味のようなものが
生まれてきた瞬間、おれの頭の中は「透明人間」で一杯になった
ピンクレディーしか知らない
だが、これからあれもこれもみんな
彼の仕業だったことに気づくことになる
「透明人間」を追いかけて
気が向いたときに書こうと思う