人も時代も
言い訳を探しているような、そんな世界だ
というようなことを田中泯がテレビで話していた。
KK.NULLの師匠であることとか、そういうおれの
中の雑音が全部消えた。
山の中でおれがなにを考え
なにを思ったか
それを書くことは出来るけれど
当然のことだけど
知らないことは書けない
知らない体験を
知らない
と書くことが出来た
君にとっては当たり前のことだろうが
おれにとってはまたひとつ
捨てることができたということだ
そうだとしても、オラ、このカメラにする。いまだって便利なカメラあるだ。オラ、じっと構えて、ようく見て、写真を撮ったぞっていう、この感じがいいな。そりゃあ、時間がかかる。それでいいんだ。撮ったって事は自分のものにするってことだ。オラ、撮ったものは忘れない。忘れないため、心に残すため撮る。めんこいおまえのこともな。撮ったぞーってな。それがなくては……。便利になるのは何かを忘れてしまう気がするな。いろいろなことをな。
藤田一咲「ハッセルブラッドの時間」
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