先生が卒業して一日経った
期待を希望に変えた人は
星になって
会って来た人の頭の上を浮遊している
会って来た人の記憶の層を浮遊している
紙で出来た折鶴に羽毛が生えて
いつか
あの部屋で反物を織るかもしれない
見える人には見える服を家族が繕い
それが一枚の絵になってはじめて
私たちの中に入っていく
いつか幸せになってたらそれでいい
それが今ならいいじゃないか
それでいいじゃないか
知らない鶴が飛んできて
私の目の前で羽根を休めた
かばんに忍ばせていたピーナツを放り投げる
見事キャッチし、丸呑みする
先生と日本語での会話は出来なくなったけど
いつか、また話す日のために
先生は絵の中に戻る
私は目の前に戻る
二羽の鶴は千円札に刷られて、紙に戻った
お互いに身体をピンと伸ばして
大きな羽を広げて、互いになにかを伝えている
紙の中から、その声が聞こえる
先生へ
ありがとうございました。
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